以前日本の就活について、日本の就活は異常!就活をせずにフリーランスになった僕が「大学時代に感じていたこと」と「今」。という記事を書きましたが、
今回また改めて新卒一括採用という制度の問題点についてお話ししてみたいと思います。
新卒一括採用という日本特有の雇用システムがあるわけですが、新卒一括採用のような時代に合わないシステムがあるから
- 30年間給料が上がらない
- 給料の上昇率はアジアでも最低レベル
- 労働時間の長さ世界一
という働き方の問題を引き起こしているわけです。
今日はベトナム人友人の話を交えながら、
- 新卒一括採用がおかしい理由
- これからの日本で生き残るための方法
などをお話ししていきます。
新卒一括採用は労働力を刈り取る仕組みです。
新卒一括採用は
- 3月から広報解禁
- 6月採用活動開始
というスケジュールで進んで行きますが、なぜこのようなスケジュールに沿って雇用が進んでいくのでしょうか?
本来企業が人を雇う目的もタイミングも会社によって異なるはずですので、雇用が可能な期間を制限する必要もないはずですし、情報解禁などと称して周りの企業と足並みを揃える必要ってないわけですよね。
しかし、
日本では企業が足並みを揃えて新卒採用のスケジュールを組み毎年スケジュール通りに新卒採用が進んでいきます。
僕のベトナム人の友人は現地の企業で秘書をやってるのですが、学生時代から現在の企業でインターンとして3ヶ月働きその後内定をもらえたと言っていました。
最近は日本でもインターンを導入してる企業は多いですが、1ヶ月以上のインターンを導入してる企業は2%しかないと言われています。
なのでインターンが普及し始めていても日本は新卒一括採用のスケジュールに沿って進んでいくわけですが、日本のように雇用のスケジュールが社会的に決まっているという状態は世界的に見ても異質なことなんですよね。
では新卒を採用する際になぜ日本では新卒一括採用というシステムがあるのかというと、
日本での新卒採用というのは、
労働力を安定的に確保するための仕組み
だからです。
こちらの記事でも同じ例を出したのですが、
狩をして生活をしていたような狩猟時代に食べ物を獲得する場合、
毎回森に入って食料を取るのと、畑や田んぼを作り決まった期間に収穫できるようにするのとではどちらが安定的に食料を確保できるでしょうか?
田んぼを作ってお米を栽培した方が安定的に食料を確保することができますよね。
それと同じで、
新卒一括採用というのは、
小、中、高、大学という畑で育った労働力を刈り取る作業
であるということができます。
今の新卒一括採用の原型が出来上がってきたのが1960年ごろなんですけど、当時は周り企業よりも早く学生に内定を出すことを「青田買い」と読んでいました。
「青田買い」とは卒業が近い学生を早い段階で採用することを言うのですが、当時はとにかく人手が欲しいのでどの企業もいち早く学生と雇用契約を結ぶことに躍起になっていたんですよね。
そして学生の採用が早すぎることが問題となり、「新卒は平等に同じタイミングで採用しよう」と取り決めたことが今の新卒一括採用の原型となってます。
当時は自分の会社を選んでもらうために学生にプレゼントを渡したりと、めちゃくちゃなことをやっていたのも事実ですが、
冷静に考えてみれば卒業前の学生と雇用契約を結ぶこと自体は悪いことではないはずですよね。
にも関わら平等性を保とうとしたのは、社会で育てた労働力は平等に分配するべきという認識が根底にあるからではないでしょうか?
また例えが悪くで申し訳ないのですが、
A B ,C,Dの四人で育てていたお米が収穫間近だったとします。
しかしAがB ,C,Dよりも先にお米を刈り取り自分のものとしたらどうでしょう?
4人で育てたお米をAに独り占めされてしまいます。
そこでA,B,C,Dの4人は9「月になったらお米を収穫しよう!」と収穫時期を決めるわけです。そうすれば、誰か1人が抜け駆けすることなく、みんなで平等に食料を分配できるようになりますよね。
これと同じ発想で、
新卒は社会が育てて来た大事な労働力なんだから、企業がみんなで平等に分配しようってことです。
「日本型の雇用は社会全体で労働力を育てるという意識があるから優しい」
と捉える人たちもいるようですが、そのシステムが企業の都合に沿って作られたシステムであれば、それは優しいとは言えないはずです。
青田買いのような言葉が新卒に当てられていたことを見ても、
新卒はイチ労働力であって、
新卒一括採用とは企業が安定的に新しい労働力を確保するための仕組み
という考え方が根底にあると言えます。
時代に合わせて新卒システムも変化するべき
新卒一括採用は1960年ごろに今に近い形になったわけですが、雇用に対する考え方も、システムもほとんど1960年代とほとんど変わっていません。
昔はモノを作れば売れる時代だったのでマンパワーでなんとかなりました。だから新卒一括採用のような雇用システムでも一気に労働力を確保することで成果も出た。
さらに、
- 年功序列
- 終身雇用
のような制度もまだ機能していたので、
雇われる側も、
- 1つの会社で頑張れば生涯雇用が保障される
- 勤続年数が増えれば給料も上がっていくし、出世もできる
- 定年で退職すれば退職金も十分もらえる
と言ったように日本独自の制度も昔は優秀で企業側にも働く側にもメリットの大きいシステムだった。
だから日本の雇用システム自体が悪いということではないのですが、時代に合わなければ意味がありません。
新卒一括雇用型で大きな役割を果たしていた、終身雇用は2019年には経団連が終身雇用の継続は難しいとの発言もありすでに破綻してますし、年功序列で給料が上がるとは言っても微々たるもの、
実際に賃金も30年間上がっていないわけですからね。
こちらは、GLOBAL REWARDS PULSE SURVEY を元に作成した給料の昇給率のグラフです。カンボジア、ベトナム、インドネシア、マレーシアなどの東アジアと比べても日本の給料の上昇率は最低です。
日本の状況は変わっているのにシステムも考え方もがほとんど変わらないことが大きな問題なんですよ。
楽天やソフバンク、メルカリなどなど一部の企業では既存の新卒一括採用を廃止してる企業もありますが、日本全体で見ればごく一部。
2021年から新卒ルールが廃止になったとはいえ、今までの価値観がそう簡単に消えることはないでしょうからまだまだ時代遅れな雇用は続いていくんだろうなと思います。
新卒一括採用はおかしい。
- リクルートスーツやメイクでの没個性化
- 対策本通りに受け答えをする面接
- 長所、短所などの人間性を重視する風潮
などなど疑問しかない点が多く存在するのが日本の新卒一括採用なんですよね。
VUCAの時代と言われる現代では、創造性や知的好奇心の高さなど学力テストなどでは可視化されにくい要素が重要になってます。
ユニークな経験をしたり、面白い考え方ができたりと人とは違うことが大きな強みとなるわけで、
個性的な人ほど企業にとっては重要な人材になりうるにも関わらずなぜ日本の企業は無個性な人間を求めるのでしょうか?
その理由は先ほどもお話ししたように、
日本では戦力としての人材よりも、
イチ労働力として長く機能する人材
を求めているからだと考えると納得がいきます。
こちらはちょっと古いデータですが内閣府が963社に対して行った「採用のあり方についての調査」です。
その中で「新卒一括採用のメリットは?」という質問に、
他社の色に染まっていない人材を確保することができる
と回答する企業がかなり多いことが分かります。
うん。もう「コントロールしやすい人間が欲しいです」と言ってるようなものですよね。
こちらも同じく2020年の内閣府の調査なのですが、
企業が新入社員を採用した際に重視した人間の特徴をグラフ化したものです。
- 誠実性
- 協調性
という項目が飛び抜けて高いことを見てもを企業が欲してる人物像はひと昔と同じで、変わってないんだろうなと思います。
日本の面接とはもはや人間性テスト、あるいはビジネスマナー検定と化してるわけですが、面接とは本来は会社側と学生側のミスマッチが起きないことを目的として行われるべきものではないでしょうか?
能力や適正はエントリーシートで判断すれば良いわけで、わざわざ面接まで使って人間性の選別をしても企業の成長につながる人材を確保できるのかは疑問です。
それにしても今の時代に求められている、
- リーダーシップ
- 独創性
- 思考力
などの項目がめちゃくちゃ低いんですが、こういう認識を変えないとマズいことに気付かないんでしょうか…。平均点が高い人よりも、突き抜けた人をどんどん採用するべきだと思うんですけどね。
新卒でスキルも専門性もないのがおかしいって話。
結構長くなりましたがもうちょっとなので、ついてきてくださいね!
新卒一括採用が時代遅れだからやめよう!という意見の一方で、
という意見を時々見ることがありますが、
そもそも大学を出ている時点で専門分野ができていない時点でおかしいんですよね。
これは、
学生が努力をしていないからスキルも専門性も身につかない
ということではなくて、
そもそも日本の教育では専門分野を身につけられないようになっているということです。
海外の学生と話していると、
what’s your major(あなたの専攻ははなんですか?)
という質問をよく受けます。
僕がオーストラリアにいた時も友達からよく聞かれたんですが、なんて答えていいのかいつも困っていたんですよね。
僕の勉強不足というのももちろんあるのですが、
学部名を答えても「で何を勉強してるの?」って言われると「自分って何を勉強してるんだろう?」「今の勉強がどんな仕事につながっているだろう?」ということがはっきり答えることができなかった。
日本でも「何学部なの?」なんていう会話は学生の間でよくありますが、その多くの場合はあくまで所属組織を訪ねる質問であって、個人の専門分野を尋ねる質問ではないですよね。
でも海外の学生と話す場合は「どこで学んでいるか」よりも「何を学んでいるか」に焦点が当たっていて自分の専門分野への意識の高さが衝撃でした。
でもそれって当たり前の話で、海外では自分の専門や大学で学んできたことが仕事の直結するからです。
海外で就職する際にはジョブディスクリプションと言って、業務内容や自分がやるべき仕事の範囲が明確に決まっています。
こちらは僕のベトナム人の友人のジョブディスクリプションなのですが、業務内容が事細かに決まっているんですよね。
マネージャーと顧客の出張の手配
なんて日本では仕事とは見なされなさそうなこともタスクの一部としてしっかりと組み込まれているあたりが、海外の企業らしいなと思うのですが、
このように海外の企業では仕事内容が明確に決まってるので、仕事内容やポジションとマッチしない人材は基本採用されません。
一方日本ではポテンシャル採用と言って、所属していた学部や専門性とは関係のない職種につくことが多いです。
文系にその傾向が強いですが外語学科を出ていても全く外国語を使うことのない仕事に就くケースも多いですよね。
大学の専攻とは全く違う分野の仕事につくなんていうこともザラなわけですが、それって本来めちゃくちゃもったいないはずなんですよ。
働く側も自分のバリューを発揮できないし、企業側も適切な人員を配置できないわけですから。
昔は時間に余裕があったのでスキルのない学生をゼロから育てるメリットも大きかったかもしれませんが、スピードが重要な今の時代ゼロから全て教育していては、とてもじゃないけどグローバルのスピードにはついていけません。
- 大学で学んだことを重視しない企業
- 専門性が見につかない教育
双方の悪い部分が悪い相乗効果を生んでしまってるのが現状なんです。
日本の雇用問題を取り上げる際に新卒一括採用というシステムだけが問題視されがちですが、実は教育の分野も同時にテコ入れしないとあまり効果はないんですよね。
教育システムから変わらないと意味がない。
というわけで、
専門性が身につかない学校教育と、専門性がない人間を採用するための新卒一括採用この二つがセットになって今の日本の雇用システムが機能してるので、
新卒一括採用だけではなくて根っこにある教育も変わらないと意味がありません。
- 個性を伸ばす教育
- 専門性が身につく教育
- 起業をサポートするシステム
今の日本にはこのように、早いうちから特技や強みが見つけられる教育が必要なのではないでしょうか?
今の日本の教育では、5教科の均質的な教育をして平均的な学力を上げることばかりに注力していて、個性や才能を伸ばそうとはしませんよね。
ざっくりと言えば個性を伸ばすことよりも、欠点や不得意なことをなくして平均点を上げることに全力を注いでるイメージなんですよね。
何か才能があっても一般的でないこと判断されれば評価されることはありません。放っておいてくれればまだしも、逆にネガティブなレッテルを貼られてしまうこともあります。
個性とは、自分の強みや得意分野を認識することを言います。
- 自分は何が好きなのか、
- 自分は何に興味があるのか、
- 自分は何が得意なのか?
あらゆる選択肢の中から自分の興味や琴線に触れるものを見つけられる教育が個性を伸ばす教育なんですよね。
ただ日本の教育では真逆のことをやっているわけですから、
- やりたいことが分からない
- 自分に向いてることが分からない
となる学生が多くなるのは当然のことです。
就活生でガクチカがないことに悩んでいる人が多いわけですが、ガクチカがないのは学生が努力しなかったからではなくて、単に個性が育たない教育の中で育つからであって、
就活で急に「学生時代に力を入れたことはなんですか?」と聞かれても周りの学生と似たようなエピソードしか出てこないのは当たり前のことです。
日本の学力水準は高いですからそこは誇れるところなのですが、
今の時代はテストの点数を上げることよりも、均質的な能力を育てるよりも自分のアイデンティティとなるような武器や専門性を育てることの方がよっぽど重要なんですよ。
雇用システムだけではなくて教育面も改善していかないと今後日本を引っ張っていくような人材は増えていかないので、政府ももっと教育に力入れた欲しいなと思います。
自分の専門分野は自分で身につける
- 新卒一括採用は時代遅れであること
- 雇用と教育の両面からアップデートが必要であること
- 日本の教育は武器を持てる人を増やすことを目的とすること
と、スケールの大きなことにまで言及してきましたが、正直いますぐどうなる話でもありません。
もちろんこの記事をここまで読んでくださったあなたには政治に関わることだったり、正しい知識を身につけることやっていただきたいのですが、
個人レベルで仕事や経済環境を改善するためできることって何があるでしょうか?
僕は明確な答えが一つあって、
それは自分の力でお何か金が稼げることをやってみること
です。
なんか陳腐な答えに聞こえるかもしれませんが、一番確実で現実的な方法だと思ってます。
月に20万円も稼げなくて良い、月1000円でも良いのでお金に繋がることを何か1つでもやってみる。
ゲームのライブ配信でも、なんでも良いです。
僕は2015年にブログで収入を得ることができると聞いた時「これやってみたいかも..?」という好奇心だけでブログを始めました。
そしてブログというたった一つのことに没頭したことで、ブログを初めて4ヶ月半後にはブログで生活ができるようになりましたし、最初はブログで広告収入を得ることだけでしたが今では、
- ブログのコンサル
- 少人数のビジネスコミュニティを運営
- セミナー講師として登壇
など仕事の幅を広げることができました。
収入も仕事をしていた時の3倍になりましたし、今はコロナで移動がしにくい時期ですが海外と日本を行き来するような働き方ができるようにもなった。
自分の武器を作ることで確実に働き方が変わりますし、お金も入ってくるようになります。
の記事でもお話しましたが、
- 税金や社会保障費の高さ
- 社会保障の低さ
- 生活コストの高さ
という観点から見ても、日本で普通に暮らしているとお金が増えないようになっているんですよね。だからこそ自分の経済は自分で守るという考え方が大事なんじゃないかなと思いますね、
日本の学校ではお金の稼ぎ方は教えてくれません。将来誰もがお金を稼ぐようになるにも関わらずです。
だから会社員のお給料以外で収入を得ることはできないと無意識の内に思い込んでしまっているわけですが、それこそ人生の幸福度を下げている原因なんですよね。
仕事とは自分の武器を作り、自分の武器でお金を生み出すことです。
社会のレールだけに取られず、進んで行ける人が幸せになれる時代ですので、新しいことにどんどんチャレンジしてみてくださいね。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。
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